藍坊主 | 9月
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9月 2005

キュウリマン。

暖炉に頭を突っ込んで、煙突の口から見える長方形の空を眺めていた。時々風に揺られてススがはらはらと落ちてくる。何粒かは鼻の上に舞い降りて何粒かはそっと顔をかすめていった。もうかれこれこんな風に寝そべって4時間近くが経つ。実際は2時間ほどかも知れない。なにしろ一昨日時計を無くしてから自分が何回食事をしたかも思い出せないほどずいぶん時間音痴になっている。基準が無い今時間はひどく伸びたり縮んだりしていた。そんな心許ない感覚的4時間の中、小さい空に見えたのは鳥だけ。晴天で雲もない今日の空は退屈を極めていた。変化をくれた鳥達に感謝した。そいつらはトンビ2、ツバメのような鳥1。トンビは同じやつがまたやってきて飛んでいただけかもしれない。区切られた狭い空からは彼に仲間がいるのかどうかさえわからない。ツバメのような鳥も小さすぎて判断がつかなかった。だから勘でツバメということにしておく。私はツバメが好きだ。食べたくなるうしろ姿が好きだ。
暖炉。使われなくなって随分経ちそうなこの暖炉。薪をくべて火をおこし部屋を暖めるだけが暖炉の使命じゃない。それを私は証明したかった。頭を突っ込み長方形の青空を眺める事でそれに近づける気がした。サンタクロースが今煙突に飛び込んできたらさぞ驚くだろうななんて、ここで今私が死んだら発見後きっと変死体として処理されるんだろうななんて、世界中の木々が突然真っ青に染まったとしても今の私には知ることができないんだよななんて、メーワイは元気でやっているかななんて、私は少しまどろみながらとりとめのない思考をつなぎ続けていた。
YES.tori/HOZZY

石造りL字型。

フライパンが生えた午後のミュラル通りを片足のメーワイは浮遊していた。左足に三色の包帯を巻きつけて、水色の一本だけを垂らして引きずっていた。彼のくしゃみはいつも正確に「ラ」の音をだし、あくびは「ファ」の音をだす。ギター弾きは彼によくコショウをふりかけた。最低でも10回は響き渡る「ラ」の音にギター弾きは急いでチューニングを合わせる。そしてそれが終わるといつも3セロムを置いてどこかに消えていった。メーワイはその度に鼻水と涙で顔をグシャグシャにしたが決して怒ることはなかった。地面に転がる錆びた1セロム硬貨三枚、彼は無言で拾い上げると腰に下げた空き缶にカランと放り込む。こうしていつからかコショウを浴びた日は小麦粉とフォークが買えるようになった。
メーワイが左足の膝から下を無くしたのは353歳になった年。卵の食べすぎが原因だった気がする。そして俺は眠くなっていた。寝るべ。

凝視。

久しぶりにゲロを吐いた。
珍しく独りじゃなく友人達と呑んだもんだから、楽しくなってネジが飛んでしまった。物は壊してません。腹は壊しました。
月いいですねー。
素晴らしい出来栄えですな。
月と太陽、どっちかあげるって言われたら俺は月をもらいます。
どっちかっていうと月の方が好きだという人の方が多いんじゃなかろうか。って勝手に思ってるけど、多分そうなんじゃないか。
太陽は存在がでっかすぎるべ。
なんかイメージ的におっかねー。
怒るときもニコニコしてそうな人のようで、仮に知り合いになったとしても仲良くはなれんタイプだ。
「笑ってんじゃねー!」って酔っ払ったら言っちゃいそう。
で、その後謝って許してもらったとしても打ち解けるっていうより妙にお互い気を使いあっちゃってその微妙な距離感に余計気まずくなりそう。んな感じを抱く。太陽様に。
けど太陽がなかったら月も見えないんだよな。寒いし。
月は良い、色んな意味で。
ゲロの味にはやはりまだ慣れることはできません。
しんどかったぜ。
YES.evian/HOZZY

ブルンッ、とやってきて。

おいおい、何やってんだよ。そこで立小便するんじゃない。
さっきそこで俺は星と月を眺めていたんだ。あぐらをかいて神聖な雰囲気に浸っていたんだ。何やってんだよ。いちいちそこでするこたねーだろーが。おいおい。1メートルはずれれば原っぱじゃねーかよ。なんてこった。胸が痛いし気分わりーよバカヤローが。ダッシュで突っ込んで跳び蹴りをかました方がいいだろうか。もしくは奇声を発しながら狂人さながら威嚇して追っ払うべきだろうか。警察に通報してさらし者にしつつ俺も一緒に説教かましてやるべきだろうか。つーか今携帯持ってねーし。電話しても警官来る頃には奴はとんずら万歳だぜファッキンジーザスクライスト。どうしよう。悩んでる暇はねぇぞホジ山ー。
ブーンと小便男は車に乗ってそのまま消えていきました。
あー。
つーか、あり、え、ない。
奴が小便かけたのは「道祖神」なんです。
道祖神ですぜ!?
道祖神てのはお地蔵さんみたいなものです。ありえないだろ?
月光の下残された俺は、彼の不運を強く強く強く強く祈りました。万死に値するぜあのバカは。
そしてまた、びびって何もできなかった自分にも(アウチ…)すっごい嫌悪感を抱いたので、その後ジョウロに水を入れて道祖神様を洗わせていただきました。
つーか神様に小便かける奴には俺はかかわれん。恐すぎる。話しかけた瞬間にブスっといかれそうで非常に恐ろしいであります。
男子諸君ー。立小便は、相応の場所でしよう。そうしよう。
YES.september/HOZZY

ルレロ。

石を砕いてるのは砂場の砂が残り少ないからだよ。
トンネルを作らないと帰れないんだって。
僕らシロツメクサでよかったね。
よかったね。
「じゃあ今日の月を三等分して、右上が君、下があの双子の弟、左上があなた、それが君たちの取り分だ。」
また月をもってかれちゃうね。
もってかれちゃうね。
もう4日目だね。
ううん、5日目だよ。
トンネル大きいね。
崩れるね。
シロツメクサでよかったね。
よかったね。
YES.chimpan/HOZZY

ボエー。

なぜあの時、

見落としてしまったんだろう。

言葉を飲み込んだんだろう。

迷いを放棄したんだろう。

悩むことに耐え切れなかったんだろう。

 

何故なぜ何故なぜ。

今でも思い出すと背骨の辺りが不安になる物事がたくさんあります(「痛み」というより「不安」と言ったほうがしっくりくる。未来ならともかくもう終わった過去に不安を抱くなんて変な話ですけど)。

酒のむと時々そこら辺敏感になって「クァァァぁぁああ」ってきますね。酒と哀愁の宿命的結合。

もう独りのときはたまらん。

 

しかし、だからといってこれは俺にとって毒なのかと考えたら、俺は首を横に振る。つーか毒だとしても飲む。吸う。食べる。

アホな話、俺が仮にタイムマシンに乗ってネコ型ロボットと後悔の元を修復しまくりに行ったら充実した心を手にすることができるのかといえば、多分、つーかおおいに「NO」。

そんなことしたら中身が空っぽに、水なし風船ヨーヨーみたいになってしまう気がしてなりません。後悔はきっと俺の左半分(超適当)を埋めて形作ってくれている。多分。おそらく。

 

俺は後悔ばかりしていますが、そうすることに溺れて酔っている気も大分あります。ので、この後悔党党員の言葉は話半分に聞いてもらっていたほうがいいかもしれません。

 

S君、間違いだらけでいいと思うぜ。

人の体や心を殺しさえしなければ。OK?

 

YES.doraimon/HOZZY

むらさき。

石を思いっきり遠くへ投げる。

意外と遠くまで飛んだ。

成長していた。

たったったっ

たーん。

自然と軽やかになる足取りに。

ポケットに手なんて突っ込みつつ。

鼻歌ったりしたけれど。

感じてしまった。

粘る地面の感触。

 

踏まれたゆるいガム。

市民権のない可哀想なゴム底。

 

ハロー。

 

NO.poisute/HOZZY