5月 2006

マヨヒガ。

俺のカッパや座敷童についての発言は決してギャグで言っているのではありません。ちょこちょこブログでもネタで上がっていたけれど、俺は大マジ。
その存在については勿論いる(もしくはいた)と思うし、彼らが誕生した発生源に対してもものすごく興味があります。
残念ながら、俺はまだカッパにも座敷童にもお目にかかった事はないけれど、昔の人には間違いなく見えていたはず。それは山深い場所やひっそりとした田舎に行けば行くほど、「なるほど」と手を叩きたくなるくらい実感します。

ゴールデンウィークに岩手県の遠野にいってきました。日本民俗学の教科書「遠野物語」を携えて時間のある限り遠野と岩手東部の海岸方面を見て回りました。
すげー良かった笑。
さすがにもう天然な状態じゃ昔の雰囲気の建物は町中には見当たらなかったけど、記念館になって佇んでいたり、その中にある展示物なんかも面白いものが多かった。
「オシラサマ」と言う神様がずらっと四方に納まっている部屋なんかは、正直鳥肌が立ちました、いろんな意味で笑。このオシラサマに関する伝説も、切なくて少し恐ろしくて、なんだか変な感じのする話で、それが生まれた背景が非常に気になる話の一つでした。
そしてカッパ!
カッパ淵という、いかにもカッパがでなさそうな怪しいしいネーミングの場所にも心躍らせながらいきました。
そしたら確かにいるぜ笑。気配があった。カッパをまつった祠にはカッパおじさんの写真がつる下がっていました。有名人だったらしいです。

人間には何だって見える。およそ俺たちが想像できることはなんだって起こりうる。
きっと多くの怪奇譚なんかは、人間がびびって見た幻覚や恐ろしくなって感じた圧迫感なんかを膨らまして創っていったんだろうなと、思います。
12月の雪山を夜通し歩き続けたら、雪女を暗闇の中にみたっておかしくないし。
だけどそれが全てだと言い切るのは、短絡的すぎる。
マジでわけわからんモノは突然現れる。
森や山じゃなくても例えばコンセントの穴のなかとかテレビの裏とか。
いないなんて誰が言えましょう。
「完全にいることを科学的に、論理的に証明せよ。」なんて言われたってできないね。だって科学じゃねーもの笑。
つーか逆に「完全にいないということを科学的に、論理的に証明せよ。」って言ったらどうなんでしょうか。そんなことは誰にもできないだろうに。
カッパや座敷童は、人の生活であり、精神であり、習性であり、そしてまたは、存在として俺らとは違う空間で生きている(生きているって言葉が適切かはわからんが)不思議な生き物として俺は認識しています。
なので、これからも時間があるときはその尻尾を追いかけて怪しいところへ可能な限り足を運んでいきたいと思ってます。
なんだかうさん臭い「自称・探検家」みたいになってきてるな笑。

ちなみにこないだの東北キャンペーンに行った時にも帰り俺だけ現地に残って、銀河鉄道にのって別行動、青森に行ってきました。
目的地は日本三大霊場の一つの「恐山」。
ここもまたすげーとこだったな。
わらじ買って帰ってきました笑。

YES.yanagidasensei/hozzy

『魚と猫とゴムとネコ』のラスト。

ハルマはだんだんと、ニクモの様子に不安を抱き始めていた。
『こうして、僕はまたここに戻ってこれたんだ。』
と、彼がそう言ってからもうかれこれ二時間は経っている。
旅の話はもうとうに終わったはずなのに、彼はまだ話すのをやめようとしない。
狂った音声機械のように同じような事を何度もノンストップでえんえんと喋り続けている。
ハルマは、自分の方から話を聞きたいとねだったものだから、余計に彼のただならぬ様子に、焦りに似た感情を募らせていた。
「ねぇ、ニクモ、一旦休憩しましょうよ。ほら、あなた喉がガラガラになってきてるわよ。ねぇねぇ、聞こえてる?私まだまだあなたの話を聞きたいけれど、少し休みましょう、ね?あなた、どんどん顔色も悪くなってきてるわよ。」
「朝日はそりゃぁもう美しくて、僕の肩に乗っていた悲しみも飛んでいっていましそうで、」
「ニクモ、ちょっと私の話をきいて。」
「その時僕は思ったんだ、虹ってものの意味は、」
「ニクモ!聞いてちょうだい!」
「鳥になりたいって、彼らはいっていたんだ。でね、僕もいつかは、」

ぱちんっ。


ニクモは、弾けるように引きちぎれて、その場にぺたん、と横たわった。
時間が、冬の水たまりのように、パリッと、音もなく、固まった。
「ニクモ!」
ハルマの叫び声がコミュニティを駆け巡った。
その反響音は、僕の背中の右上を貫いて、カーブしながら、光のない空に散っていった。
遠くのほうで誰かの笑い声が、弾けるように空気を揺らして、砕けた。

YES.lowlowlow/hozzy

『魚と猫とゴムとネコ』の7。

シュンスケはタエコに現像させておいた例の写真をポケットに忍ばせながら、はやる気持ちを抑えるため、わざとゆっくり、のろのろと道の隅を歩いていた。
「くくく。これでやっとあいつらに仮を返せるぞい。」
にやける顔を、わざと険しくさせるものだから、彼の顔は不細工な般若のように酷い形に変わっていた。
ブロック塀の上で日光浴をしていた猫が、彼のその歪んだ顔を見て、一目散に北の方に逃げていった。
今日は月に一度の会合で、ヤマウラ商店街の人間たちが「みどりの家」に集まることになっている。つまりそれは言い換えれば例の自慢大会の日である。
この日彼は仲間たちの中でも特に、前回の自慢話の場で白いコウモリの話をしてその日の話題を全てさらっていった、加藤という人物に大きな対抗意識を燃やしていた。
輪ゴムの話をどうスリリングにエキサイティングにアンビリーバボーに熱弁するか、彼は一晩寝ずにじっくりと考えた。
そのせいで、目は稲妻が走ったように血走っていた。
トマトアイ。
「加藤め、今日は俺の勝ちだわい。待っとけよー。」


少女の母親は、テーブルの上に、ぽつん、と取り残された、やけに古びた輪ゴムをつまみ上げると、パタパタと工具置き場の棚に向かった。
「んーこれのどこが変わった輪ゴムなのかしらねぇ。お父さん何だかごちゃごちゃ言ってたけど普通の輪ゴムじゃない。汚ない灰色。けどー、けどけどー、無駄遣いはーよーくありませーん。」
変な節をつけながら、鼻歌まじりに彼女はその輪ゴムを輪ゴム箱の中へ放り込んだ。
「あっ、いけない。洗濯物干さなきゃ。」
そう言って彼女がくるりと回転した時、ぴんぽーん、と少し間の抜けたインターホンの音が、リビングに唐突に響いた。
「加藤さーん、お届けものでーす。」



「シュンスケさーん、本当ですかー?その話。」
「バカ言え。写真まで見せたろうが。本当の本当に、この輪ゴムは魚の腹の中からでてきたんよ。ちゃんと証拠もあるんじゃ。今回は俺が一番だとさっさと認めろや。」
「うーん、本当かなぁ、、、、。」
シュンスケはわざとらしく、大きなため息をついた。
「お前いいかげんにせーよ。つーかよ、俺がお前らに嘘ついたことあるか?」
「んー、まぁ、確かにそうだなー。うーん、あんまないかも。」
「だろうが。」
「うーん。」
「あ?」
「いや、はい。」
「あー?」
「うん!ないです。」
ふふっと、シュンスケは笑って頷いた。
「よしよし、わかればいいんよ。よっしゃ、今回は俺の勝ち。それでいいな?ん?はっはっは!わかればいいんじゃ。これ、加藤よ、この輪ゴムお前にやる。」

YES.kappa/hozzy