8月 2006

スリーピン。

君は夜中に台所でリンゴをむいた。うすく切ってそれを窓辺にさしこむ街灯にすかした。そして食べた。電気はつけなかった。くらやみは静けさと手をつないでいた。ふと頭のなかにブランコが浮かんだ。口のなかがリンゴできしきししている。たばこを吸った。吐いた。ブランコがゆれた。天井から水を流す音がきこえる。とたとたとた。窓の鍵に手をかけた。ブランコが止まる。ソロソロと窓を横に滑らせた。なまあたたかい風が鼻先をなでる。外にはなにもなかった。月も見えなかった。冷蔵庫が背中で低くうなった。それから君はなにも期待しないで寝床に戻ることにした。ブランコがねじれた。鼻をかんだ。もう一本たばこを吸った。今日読んだ本の中身を思い出そうとした。宇宙の端っこのほうで星が一つ壊れた。そして気づかぬうちに、君は君の眠りの中にしずんでいった。

YES.3mm/hozzy

頭に草履?

南泉斬猫(なんせんざんみょう)という禅の話。三島由紀夫の「金閣寺」の中にもその禅の公案の話がでてくるんですが、最近何気なしに本を読み返していたらその話がやたらと心に引っかかって今もぷらぷらしてます。どんな話かはここでは書きませんが、Googleで調べれば一発で出てきますので暇があれば是非よんでみてください。俗人の俺はもとより、賢人たちの間でもこの公案は非常に難解なものらしく、その真意を完全に理解するまでになる人は少ないようですが、話自体はかなりファンキーで、思わずレッチリのフリーを心に思い浮かべてしまうほどちょっとネジが飛んじゃってます笑。つーか、こんな話をいい大人たちが真面目な顔をつき合わせて頭をひねりながら討論しあうなんて、なんて素晴らしくて羨ましい時代なんだろうと、昔の坊さんたちがねたましくなってしまいました。ちっ。今の坊さんたちも真剣に修行の一貫としてこのへんてこな話に頭を悩ませているんでしょうか。知りたい。

人間は昔のほうが聡明で、自分や外界への認識に対して真摯だったように思えてしまう今日この頃。
どこに向かっているんでしょうおれたちは。

YES.kukyouchou/hozzy

暁闇。

球だと思い込んでいたものほど、裏側から見たら正立方体に見えるかもしれない。
そんな可能性が耳の奥でヴいんヴいんうなっている。
最近よくわからなくなることが増えてきてる。
当たり前のごとく目を背けてきたものや、当然のように正しいと受け入れていた物事、実はそれらはお互いにあまり相違ないんじゃないか、むしろこいつら倒錯してるんじゃないか、ぐるんと逆立ちして俺のことをあざ笑ってやがるんじゃないか。
ああああああああ?と、よくわからなくなります。

つーか、むしろ遠ざけていた物事がおれの中で輝きを増してゆくのはどういうことなのでしょう。

俺はやっぱりニコちゃんにはなれない。
水面を歩く夕闇のように、誤解は人の信念をじわりじわりといたぶるな。頭いてえよ。

俺はこの先もずっと解放に向けて歩いてゆくことにします。

足の裏に空を感じなければ。

YES.riot/hozzy

ドロップ。

日に日に体の感覚がぼやけていく気がします。というより霧散していくというか。景色に俺が入り景色が俺に入り、意識が体からはみ出ていくというか、体が意識本体になるというか。
ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり、な感じで。
こんな状態に突然なったらきっと、ぱちんと弾けてパンクするのだろうけど幸い髪の毛が伸びるのよりはゆったり変化していっているので、うちわでぱったぱった扇ぎながらビール片手に「なんなんだこりゃ」と考えたり、この感覚にぼーっと浸ったりできてます。
それにしてもこの症状を誰かに相談したら、普通に「うーん、病院行ったほうがいいよ」と言われかねない状態だよな笑。俺にとっちゃいいことなんですよ。色んなこと考えられるし。だからもっとぼやけたい。

「飛ばない豚はただの豚だ」

昨日初めて『紅の豚』観ました。ゲド戦記みたら、ジブリ作品で漏れている作品観なきゃならん使命感に駆られ初鑑賞に至りました。

よかったです笑。

ラピュタ抜いて一番好きかもしれない。つーかなんで今まで見なかったんだろう。不思議だ。チャンスはいくらでもあったのに。いろんな人に薦められてもいたのにね。

つーか「飛べない豚は、」じゃなくて「飛ばない豚は、」なんだな。何回もみてしまったよその場面。なんか「飛べない豚」で覚えていたから。
しかしポルコいちいちかっこよすぎ。なんだかんだ平和な映画だし(アッパラパーじゃなくて)、説教臭くないし、多分俺DVD買いそうです。

「いつか透明人間になったら、体の質量も減らして、ヘリウムみたいに上のほうに昇っていきたいもんだぜ。」ってポルコ風に言ってみたい。


さっきコンビ二にビール買いに行ったら、ハートの刺青を肩に入れた(これでもかってくらいベタなタトゥーだった)おっさんに胸を小突かれて「なあ、ロックしてんのか?きかせてくれよお前のロックをよ」と言われ、つまみにサラダを買おうと思っていた俺はなんだか情けなくなり、「やっぱ肉だよなおっさん」と、チャーシューみたいなやつを手に取って、買い物籠の中に放り込んだ。
つーかその後おっさん少ししつこくて「ロックンロール!」とか「お前のブルースを聴かせてくれ!!」とかずっと言ってきて、俺の背中に張り付いたまま離れなかったので、缶コーヒーを一本渡して、「お互いがんばろうぜ」と言ってたったか帰ってきました。
しかしなんか彼の事少し羨ましく思ってしまった。俺ももっとアグレッシヴにならなければ。

「大切なことは、目に見えないんだよ」
サン=テグジュペリの物語の言葉を近頃よく思い出します。

YES.jacopetti/hozzy

indiaについて。

もう帰国してから二週間以上たっているのにねぇ。すいません書くっていってて書かなくて。なんつーか、今回の旅、あんまどうだったこうだったって口にだすのがだんだん不当な気がしてきてしまって。不当って言い方も変だけど、なんだか今回のことは俺の中に留めておくのが一番良いって気がしてきてます。
うん。
なんつーかもともとインドに癒しや楽しさを求めて行ったわけじゃなかったし、「自分探しの旅」なんてよくわからん理由で行ったわけでもなかったし(ユウイチ君はブログでそう書いていたけど笑、冗談じゃねぇ)、何で行ったのか、理由は色々あるけど、このタイミングでインドってもの凄く妥当だったんです俺の中で。花瓶に水を張ったみたいにピタッとしててね。それで、少し大げさに言うと厳粛な気持ちを心の隅に含んで行ったので「旅日記!」みたいな愉快なノリで「僕、こんなところに行っちゃいました!」みたいなハッピーさで書くのはやっぱちょっと違くって、この場で真面目に書くのもまたちょっと違う気がしています。ので、自分勝手だけど今回は文字にするのはやめとこうと思います。

その代わりといっちゃなんですが、向こうで撮った写真を次のCDに画像として入れたいと思っているので、もし良かったらそれをみてみてください。

今回の経験を曲に還元できるようがんばります。

YES.raisins/hozzy