藍坊主 | Column
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藍坊主

Column

ユデタマゴ。

なんだかんだで気がつけばもう6月。
先月はコラムの更新が一回もなし。
その余裕がなかったわい。
しかし集中力と気力だけは日増しにあがっている気がする。
それに負けない体力&筋力をこのちょっとのインターバルで少しでも多く体に叩き込んでやってる最中です。
ツアーは色んなものを俺から剥ぎとりながら根拠の無い精神論を耳元で囁き続けてくれやがる。
後半にもう入っているけれど、気合い的にはもっともっと調子を上げて行きたい。
喉がつぶれてもうたえる歌をうたいたい、、、、。
、、、、、でもそれは無理なんで笑、今日一応病院にいって喉を見てもらって薬ももらってきました。
まだまだ喉の方は平気です!ポリープなんかもないようです(かといって無傷ではもちろんないけれど)
後半戦、更にぶっとばしながらラストの沖縄、そしてその先の制作まで色んな濁った余計な皮をむいて剥いでもっと純粋な状態に少しでも近づきたい。
いらないものがおおすぎる。
口先だけのくそ人間にならないように、死ぬ気でやっていくんで北海道からまたヨロシク!!

ちなみに面白い考えが浮かんだのだが、それはまたいつか!
しゃしゃしゃしゃしゃっ!!

YES.zurumuke/hozzy

生活。

品名炭酸飲料原材料名カラメル色素酸味料甘味料(アスパルテームLフェニルアラニン化合物アセスルファムKスクラロース)香料カフェイン内容量500ml賞味期限キャプに記載保存方法高温直射日光をさけてください
名称乳等を主要原料とする食品無脂乳固形分3.5%植物性脂肪分40.0%原材料名植物油脂乳製品乳化剤(大豆由来)メタリン酸Na香料安定剤(増粘多糖類)着色料(カロチン)内容量200ml賞味期限上部に記載保存方法《要冷蔵》〈3℃~10℃〉
品名洗濯用合成洗剤液性弱アルカリ性用途綿麻合成繊維用正味料1.0kg成分界面活性剤[37%ポリオキシエチレンアルキルエーテル直鎖アルキルベンゼン系]安定化剤アルカリ剤ph調整剤分散剤酵素蛍光増白剤使用上の注意用途外に使わない子供の手の届くところに置かない使用後は手を水でよく洗う荒れ性の方や長時間使う場合、原液で使う場合は炊事用手袋を使う洗濯機などのプラスチック部分に原液がついた時は水で拭き取る放置すると傷むことがある
名称つゆ(希釈用)原材料名しょうゆ(本醸造)風味原料(かつおぶしこんぶ)砂糖食塩調味料(アミノ酸等)酸味料(原材料の一部に小麦大豆を含む)内容量 1000ml賞味期限正面右下に記載保存方法直射日光をさけて常温で保存してください開栓後の取り扱い開栓後は冷蔵庫に保管しできるだけ早めにご使用ください
名称乾燥食肉製品原材料名牛肉ブドウ糖食塩砂糖香辛料胡椒とうもろこしタンパク加水分解物ガーリックパウダーキャノーラ油チリパウダー調味料(アミノ酸等)酸化防止剤(エリソルビン酸Na)発色剤(亜硝酸Na)内容量255g賞味期限本体上部に記載保存方法直射日光高温多湿の場所を避けて保存して下さい原産国名オーストラリア

yes.blindness/hozzy 

コトダマ。


降る

見る

響かない
明日
晴れない
そして

眠れない
だから

待つ


この文章、っていうか文章って呼ぶのかわからないけど、この言葉の羅列が気持ち悪いのはどうしてだろうか。
こんな表現方法の詩や文章があっても面白いと思うし、実際あると思うし、あった気がするけど、やっぱり普通の感覚からしたら奇妙である。
何が奇妙なんだ。
それがなんのか、わかったりしたらやっぱりそれはたいしたものだろう笑。
あるヒントを経て、一つの解釈に事実到達した気がするのでここにしるしてみます。
なんか眠れないので、眠くなるまでそれを書き連ねさせて下さい、、、、。

上の言葉の羅列、文章で見ないで音の響きだけ、口から出てくる言葉だけで聴いたら外国人が日本語を喋ってるようなぎごちなさには聴こえるけど、文章で見るよりもかはまだ奇妙には感じないと思う(暇な人、実際やってみて下さい笑)。
なのに、文面でみると非常に平面的と言うかわざと感情を抜き取ったような機械的な印象が際立ってくる。
まるで半分人間半分ロボットの生き物がなまなましいラジオボイスで語りかけてきているような感じがする。
一体この同じ文章が口からでるのと目で見るのとの違いはどこからやってきているんだろう。
口で発音した方がまだ温かい感じがするのはなんでだい?
って考えてみたら、その違う所がゆっくり浮き上がってきた。

表情。

何かを伝えようとする意志が、口から発せられる場合にはほんの少しだけだとしても伴っている。
たとえ無表情にこの文章を読み上げたとしても、その「無表情」という表情がちゃんと空気を伝播して、相手のもとには届く。
少なくとも、感情がその文章にともなう。
だけど、書いてある文章からだけではそれがどうにも伝わってこないから、なんか奇妙というか、無音のようなのっぺりした感じがする。
じゃあ、目で見る場合のこの文章にたりない表情ってのは、一体なんなのか。
何を足せば、それが補えるのか。
というかそもそもこの文章に足りなかったものは何だったのか。

辞、だ。

現代では助詞という。

辞、って笑。

古いのかなやっぱ。

つまり、「てをには」ってやつです。


降る


だったら、



降る

って本来はするし、


見る

だったら



見る

って本当は書く。

単語と単語をつなぐ言葉。品詞と品詞をつなぐ言葉。それをアル言語学者さんが「辞」とよんで総括していたのです。

今日「は」私「の」誕生日「が」ワラワラ「で」開かれます

の「」のなかのやつが辞と呼ばれるやつです。


見る





見る

になったらそれだけで、表現に普通の表情が出てくる。
ありきたりでつまらない感じがするけど、馴染んだ感じがするにはする。
さらにその言語学者は、「、」や「。」にも辞としての機能をみてとっていた。

そして、
わたしは、

だったり



見る。

だったりって感じで、辞がとても重要性をもって文章に意志を与えて行くものらしい。

ここで更に突っ込んでいってみよう。

いったん、辞の事は忘れて下さい。

もっと奥まで下っていってみよう。


西田幾多郎という哲学者の「場所の論理」というやつの中に、「どこまでも述語となって主語とならないもの」、「述語的統一」というのがあります。

それが一体なんなんだ。

それは一体なんなんだ。

これは一体なんなのかっていうと、「なんなんだ」って感じです。

が、非常にキ違っていて面白い話ですので頑張って説明を書ききってみせます(俺には面白く書けそうも無いけど、、、、)。


大抵、常識的に言って「主語」はメインで「述語」はサブメイン、「主語」が主役で「述語」はその主役を支える引き立て役ってイメージがあると思いますが、まずはそういう風に普通の文章を見ていってみましょう。

『私は雨を見ている。』

この文の主語は、「私は」。
述語は「見ている」です。

主語の「私」が雨を「見ている」

小学生の授業なみに簡単な例文。
当たり前すぎるこの文章。何の変哲も無い記述、、、。

ところがこれを西田哲学を通してみると、全く様相を変えて行くのです。

ここで問題になってくるのが、そもそもどうやったら「私」という主語が雨を見ているという瞬間に、たち現れてくるのか。

現実的に、「私は雨を見ている」というのはどんな状況においてなのか。

一気にきました。いきなり次元がワープしましたが、いきます。

この文章が現実に起きるのはどういう状況に置いてなのか。

主語になっている「私」が雨を「見ている」というのはどういうことなのか。

雨を見ている私はどうやってこの現実のその瞬間に私として現れているのか。

そもそも私が、「私」と「雨」を区別するのはどんな仕方によってなのか。

それを更に拡張するとこの世界に「私」が私として現れてくる、私としての自己同一性が確立される瞬間はどうやって現れてくるのか。

といった、哲学なんだから当たり前だけど実に雲をつかむかのような主題がやはり西田先生に置いても重要になってくるわけです。

『私は雨を見ている。』

この状態がある瞬間に成立するには、実際にどういうことが時間の経過の中で起こっているんでしょうか。

『私は雨を見ている。』

さあ、実際に雨を見ている気持ちになってみて下さい、、、、、。

回想、、、、、。

しとしと、、、ぱらぱら、、、、、さーさーさー、、、、。

雨が降っているのを私は見ています。

「降っている」雨を「私」は見ています。

降っている、雨

それを見ている「私」。

さあ、見えましたか?

降っている雨を見れましたか?

「見ている」つまり

「見る」という瞬間。

その「降っている雨」を「見ている」瞬間が、とても大事な事に気がつきませんか、、、。

その瞬間を「見ている」、わたし。

その「見ている」という行為が、瞬間的に、正に「私」と呼べるこの自分を成立させてはいないかな?

「雨を見ている」と言う行為があるからこそ、それを意識する「私」という存在がここに生まれると言えはしないでしょうか。

「私」が、わたしとして既にここにいるという感覚は、実はよく検討してみるといつだって「見る」や「聞く」や「触れる」という行為、「ぼーっとする」「酔っている」という何かを常に「している」という状況の中にいて、それと自分とは切っても切りはなせない関係にある。

俺たちの存在は常に何かをしながら、その「行為」を伴いながらここに「存在している」という意識を伴っている。

だから、その何かを把握するということから、自分というものをとらえて行く俺たちの存在の仕方を、「述語的統一」と西田先生は言ったんだと思う(見ている、という述語的動作が、私、という主語的存在を統一して存在させている)。おそらく笑。たぶん。


本当の主体(自分)というものは主語に記されるものではなく、述語にその本質がたち現れてくる、という理論ですな。

「私」という主語は私について何も語ってはいないけど、「見ている」という行為は私の状態を少なくとも「私」よりは語っている、、、。

こ難しい。

で、この述語の論理に関連して、中村雄二郎と言う人が時枝誠記と言う言語学者を紹介していて、興味を持ったのがきっかけで例の「辞」というものの考えに出会う事が出来たわけです。

ここで辞の話に戻ると、とても根本的なところに行ける気がしてしまう。

西田幾多郎の場合は、述語的統一といっても実際に問題にしている場面は文章の中ではなく、現実の中においてであるから、「見る」や「聴く」といった実際的な行為を述語的と呼んでそこから主体が統一されると考えたわけだけれども、時枝の場合は言語が活動の場面であったから、現実を把握するというよりも、現実のなかでの言語の把握が重要であった、当然ながら。そしてその中で、辞の重要性を強調したのは、文章における辞が表情を強く持つ事、そこに人間の行為と同じく動きを生み出す力があふれている事、言い換えればそこにこそ主体の意志が強く宿されると言う事、本当の主語的な部分は実は主語ではなくて、辞に強くあらわれているということを示したかったからだと思う。

だから実際には、言語学的な枠の中でいうと述語と辞というのは捉える範囲、指摘する部分がちがうけれども、
西田における「述語」、時枝における「辞」は本質的には似たようなものをさしていると言えると思う(西田幾多郎の哲学はここから更に深いところまで発展して行きます、、、怖い)。

現実的生活の中では「述語的」な動きが人間の本質を規定しているのに対して(西田)、文章表現の中では「辞」がその文章の本質的な規定を示している(時枝)。

違うフィールド、違う角度から、見えないものをとにかく見ようとする人間の努力の結晶、ほんときわきわな思考的な巨大遺産ですな。

美しい!


私は雨を見ている。

この文章に込められた、この文章を書いた人間の意志が一番こもっている辞(俺がここまで書いてきたこの文章全体が、俺の意志を持った「辞」に貫かれて、正に俺が「書いた」という事実が事実として成立している。この文章が「俺の文章」といえるのも、俺が配置し続けてきた「辞」があるからこそだ。こんな面倒くさいことは普通考えないけれど笑)。そしてまた、


私「は」雨「を」見ている「。」

という文章は、辞の操作のおかげで実に同じ状況に対して、様々な形に変化させる事ができる。

見ている。雨を。私は。

雨が、私を見ている。

見ている私は、雨だ。

雨に、私は見ている。

、、、、などなど。

同じ雨が降っている状況に対しての違う表現方法、そう表現したいという意志が各々の文章において貫かれている(実はこの「違う表現方法」に対する理解を西洋の言語学はなかなか捉え切れてないでいるという事実があるっぽい。日本語は特殊な構造をしているから、言語の構造に大きなヒントを持っているのかもしれないね)

そしてつまり

「私は雨を見ている」

の「私」ってのは、結局それを表現している当人の個性を表現してはいない。

その「私」は、主語だけれども、「私は」の『は』の方がむしろ主体の意志を文章に反映している。

りんごは、りんごではない。と前から俺言っているけれど、「私」も私でないのです、、、、、。

むしろ私とは、文章表現においては、「は」であったり「が」であったりの方なのだ、、、、、。

そして、現実的生活の中でなら述語的作用に、文章表現の中でならその辞の作用に、どれだけ人間と人間がお互いにコミットし合っていけるか、というのが言語における基本的な関係規定である、と言える。

まぁあくまで原理的で基本的な一つの考え方だけれど、、、。

ただ、言語表明というのは、およそまともに枠内に収まっておとなしくしているものではない(ここが言語学的にも最も難しいところのひとつではないかと思う。哲学者ウィトゲンシュタインの抱え続けた苦悩が真っ先に頭に浮かぶ、、、)。

それは俺たちが、デジタル的に規定された生を生きていないということの証明でもある。

はみでるということは、規律を犯すと同時に、その表現の底にうごめいている生の躍動の証明でもある。

その躍動にこそ、俺たち個人の生が宿っているとまた言えるわけです。

その関係の中で、俺たちはすり減りながら生きるのか。

それともそれを豊かさと受け取って進んで行くのか。

言語とは、実に人間の本質にべったりとくっついていて興味深い。

意志を表現する言葉、それにとりつかれたらもう恐ろしい。

だから俺は恐くて余計に愛してしまうのかもしれない、、、、。


今回はかなりマニアックでした。

ねむい。

YES.tokiedamotoki/hozzy

エイドス。

ベランダから見える夜桜が月に照らされてなんと風流な!!
桜がちょうど今日ギリギリな感じになっている。
明日にはきっと重力の餌食、風のお誘いに散らばっていきそうなくらいぼってりと枝を垂らしている。
この緊張が途切れたとき、いよいよ一番きれいな段階ですな。
日本人で良かったとおもうときですナ。
桜ってよくよくみると幹がとんでもなくおぞましいし、毛虫もわさわさしたりするのにね。なんか凄いよ。
こんなにきれいって思わしてくれるのが凄い。
散ってるとき最高だね。
明日いい桜吹雪が見れるとよし。

今日というか昨日、千葉ルックでやった「クラゲ」って曲。
(千葉の皆さんありがとうございました!)
これも新曲なんだけど、今空に浮かんでいる月を見つけたら(あとちょっとで満月!)そのこと思い出してこの文章を書いてます。
そのことってのは、クラゲって漢字で書くと「海月」って読ませるんだってこと。
くらげってさ、くらげのくせに「海月」なんだぜ笑。
なんか凄くない?
ってただ言いたかっただけなんだ。
それと
英語だと「jellyfish」っていうとこが側面的にひどくクラゲらしい。
しかしなぜ魚かな。
ゼリーはちゃんとわかるけど。
なんか大げさだけど、クラゲってどこまでもクラゲの要素を抱え込んでクラゲ的にクラゲである。

食ったら食ったでうまいのがまた憎い。
こりこりしてる。

これがいいたかったんだ。

明日の水戸も楽しみです。
おやすみなさい。

YES.jellyfish/hozzy

ヒュレー。

最近また読書量が増えてきた。
ツアーが始まってからというもの、ライブ以外では刺激が極端に減ったので致し方なし。
曲作りはとてもじゃないが集中できないし、嗜好品関係も残念ながら遠のいた。
酒煙草コーヒー、なんでどれも喉に良くないんだろう、、、(コーヒーはさすがに我慢しきれない、、)。
喉にいいハーブティーなんかをよく飲むような草食獣的生活をつづける僕ちん。
ひゃっほー!!苔が生えてきそうだぜ!!

なんていいながらも、こんな生活も素敵だなと楽しんでもいるわけで、健康な感じを噛み締めている次第でございます。
そういえば「ロハス」って言葉、とんと聞かなくなったんだけどもう死語になってしまったのかな?
誰か丁重に墓に埋めてあげておくれよ。
オーガニックだから腐っちゃうよ。
エコじゃないよ。
つーかロハスってなんなんだよ。

なんかマック食いてー


ツアー始まりました。

現在2箇所終わりましたが、なんか終わった感じがしない笑。
今回は全箇所ひとまとめで一個!!って感覚を俺は勝手に持っているからかもしれない。
どこも一公演でもちろん完結するようにセットリストを組んでいるし、どこのライブもスペシャルであることには変わりないんだけどやっぱ全部でいっこのライブって感じがする。
幼稚な表記の仕方で申し訳ないが、

ぜんぶでいっこ!!

って感じなのだ。

7月に見れるこのツアーの完成図は、一体どんな記憶になるのかな。
何年たっても思い出せるようなツアーにしたいです。

そして刺激的な読書を心がけたい。

このツアー中にみっちり解読したいテーマもあるので、どこまでしっかり分け入れるか、
きっと次のアルバム制作にも繋がっていくと思うので、きりきりと歩を進めて行きたいと思います。

今回定位ははっきりしている。
最後までちゃんとそれを辿っていきたいです。

みなさん、ライブ楽しみましょうぞ!!

YES.100kei/hozzy

どうしたって区分けする理解能力。

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もし配列を変えても、結局おれはにんげん的にものを見るだろう。

どこまでも規定する力の被支配者。

今月あたまからもう酒は飲んでいない。

さえわたるあたまが余計に拘束力を増す。

にんげん。

「にんげん」ってひらがなこわくないですか?

体がとても健康になってきて、体重も絞れてきた。

ツアーに向けての準備は着々であります。

35本。

がんばるぞ。

YES.namaenonaiiro/hozzy

エンジンダウン。

タナトスは丘いっぱいに広がる菜の花に目を向けた。
タナトスがそれを美しいと思う前に、それは一瞬で枯れ果て、丘はただの砂山に変わっていた。

タナトスの目には涙があった。
これまで感じたことの無い歪みが、のどの奥に絡まっていた。

「私は生かしてはいけないものを生かしてしまった」

深い後悔が固く細く根を張っていった。

箱の中からは、未だに女のか細い声がしていた。
あれから何年経ったろう、やはり箱は箱のままである。


タナトスは風のような体をしている。
姿形ははどこにもない。
けれど確かに彼はいる。
誰につかまれることも、ましてや抱きしめられることもなく、やってきてはただ通り抜けてゆくだけ。

そして多分、彼は誰にも愛されたことがない。

愛されたとしても、それはまともな愛ではなかったろう。

彼を愛した人間は、彼への愛に触れたとたん、彼の心を知る前に、すっかりここから消えてしまう。

彼への愛はおそろしい。

おそろしいから、人を魅きつける。

生きる退屈さに疲れ果てた人間は特に、タナトスの影が大好きである。

その影で、自分の影を塗りつぶす。

黒く黒く、塗りつぶせば塗りつぶすほど、生きてる感じが嬉しくなる。

これは何なんだろうか。憧れと呼べば足りるのだろうか。

ソフィもそんな人だった。

タナトスが唯一愛したその人は、今も箱の中で、四角になって生きている。

彼女を死なせたくないから、

彼は彼女を閉じ込めた。

彼女を愛していたいから、

南京錠でロックした。

自分の瞳に映らないように、自分の息吹に触れさせないように。

狭い箱に、押し込めたのだ、、、。




タナトスは死。

ソフィは知。





気の遠くなるような昔から、二人は大事な役目を背負ってきた。

タナトスは膨張し続ける世界にクサビを打ち込み、ソフィがそのクサビに存在理由を与える。

命の系譜。

滞りない流れといえど、そこには色んな悲しみが澱のように沈んでいる。

時間は何一つ留まらせはしない。

命はそこにいたいのにしがみつく窪みはどこにもない。

だから皆が悲しみにくれないように、ソフィは薬を処方する。

美しいうたをうたって聴かせ、清廉な詩をつづっては落とす。

世界が傾き沈まぬように、二人は無言で働き続けていた。


誰のためだったろう。

何のためだったろう。


ソフィはその理由をやはりうまく作り出すことはできたが、それが真実本当かどうかは彼女にもわからなかった。

タナトスだけがその理由を今でも覚えていて、誰のためにか、何のためにか、必死になって今でも彼は自分の役目を怠らない。

休むこと無く、ただただ空白を創り続けては、新しい命のためにその場所を差し出し続けている。



ある時ソフィの様子が急におかしくなった。

彼女は見てはいけないものを見てしまったような顔つきで、自分の顔を虚ろなまなざしで眺めていた。

鏡。

彼女は鏡を覗き込んだまま、そこからじっと動けなくなってしまった。

脇目も振らずあらゆるものに理由を与え続けてきた彼女にとって、最も理由を与えなくてはならないものをそこで見つけてしまったのだ。


「あ」


がしゃん、と鏡が砕ける音とともにソフィはその場にへたりこんだ。

無数に散ったガラスの破片に、彼女の青白い顔が点々と映し出されている。

「私の理由はどんな理由…んぅ…」



それから何日も、何ヶ月も、ソフィは殻に閉じこもり続けた。

美しかった光り輝く振る舞いは見る影も無く、惨めで陰鬱な骨と皮ばかりのため息が時々口から漏れるだけとなった。

タナトスはそんな彼女の憂鬱を、なぜかひどく美しいと感じた。

できるならば、彼女を救ってやりたい。

この手で、息の根を止めてやりたい。

彼の心はひどく揺れ動いていた。

しかし、結局彼は彼女を遠くから見守ることしかできなかった。

彼女を死なすことは、重大な反逆であるからである。

何があっても、彼女を消し去ってはならない。

これは遠い昔にタナトスが言いつけられた、古い古い契約の一つだった。

彼女を消し去ってはならない。

へたりこんだままのソフィは、今にも消えてしまいそうに背中を丸めている。



そして、世界は徐々に重い暗黒期に変わっていった。



知性的だった規律が崩壊し、猛り狂う人間どもの波は更に大きな波に呑み込まれ、ぶつかっては砕けぶつかっては散らばりを繰り返し始めた。

その激流の中を、タナトスは風のように通り抜け続けた。

「奪え奪え奪え奪い続けろ人間どもよ」

「お前らの命をもってソフィの苦しみの深淵へ遠く祈ろうではないか」

「剣よりも早く、槍よりも固く、お前らの呼吸を貫ききってやる」

「ネズミたちよ、さあ行け。矢よりも早く散らばるのだ!!」


ペストが大流行した。

死体は高く高く山積みにされ、その中心で魔女狩りにあった少女が磔にされた。

世界は混沌としていた。

ソフィはその後も相変わらず臥せり続け、朦朧としながらうわ言ばかりを呟き続けていた。

その声を微かに聞いたのがジャンヌダルクであった、森の奥にひっそりと棲む老婆であった。

彼女たちが火あぶりにされたときも、タナトスは横にずっと佇んでいた。



「答えなどいらない」

「理由などいらない」

「にんげんたちよ」

「どうしてそんなに脆いのだ?」




ソフィはいよいよ神経衰弱になり、タナトスの影を愛し始めるようになっていった。

形あるこの世界に答えを見つけられないならば、もう形無き場所へ救いを求めるより他が無い。

彼女をじりじりと追いつめたものは、あまりにも狡猾で強大でそして紳士的な静けさを持った絶望だった。

あまりにも単純な問いかけに、こんな合わせ鏡のような無限ループが潜んでいようとは、恐ろしさを通り越してやけに滑稽である。

ソフィも何度笑ったかわからない。

鏡に映った自分が一体誰だか、全くわからないのだから。


「ミイラ取りがミイラになってしまったわ」

「もう何もないところで何もなく過ごしたい」

「何もないって素敵だなぁ」

「ここにいるのはもうかないわないよぉお」


乾ききった髪の毛をかきむしりながら、ひび割れた唇で笛を吹いた。

「タナトスさん、きてちょうだい」


タナトスは何も言わず、ソフィの背後に佇んだ。


「タナトス?」

「…………」

「私は、もう駄目だから。代わりの人を連れてきて。そしてその人とまた世界を光で照らしてください」

「…………」

「私は、私の約束をもうすっかり忘れてしまってね。なぜここにいるのかわからなくなってしまいました」

「…………」

「もうここにはいたくはないわ。さあ、私をけしてください。お願いします」

「…ぃ…」

「え?」

「……っ」




ぱちん。





それからずっと、ソフィは箱の中である。






彼女の後継者は実に優秀であったから、今もタナトスとうまくやりながら世界のバランスを監視し続けている。

減りすぎないように、増えすぎないように。

夢を見すぎないように、絶望を抱えすぎないように。



フリーメーソン。



その後継者が人間たちに作らせた、彼のコントロールルームの名前である。




YES.pandora/hozzy

ヴィルス。

14000年くらい前。

博士と助手がいた。


「博士!この機械はなんなんでしょうか!!」

「うーん。きみに言ってもわからんだろう」

「そんなあ、博士、教えて下さいよ」

「まずは君、顔を洗ってきなさい。涎が乾いてかぴかぴだ」

仕方が無いので、私はじゃぶじゃぶ洗いました。


「博士!つるつるのぴかぴかです!この機械の用途を教えて下さい!」

「ごっごっごっごっごっが、むふー、ぁんがっ!!」

「博士!息を吸いながら喋ってはいけません!!」






食物触媒機「ピノコ」

世界の食料事情を一変できる画期的発明品である。

わかりづらいであろう。

こういう感じだ。


まず手のひらサイズの「ピノコ」を量販店で買い求める。

一個24800円。

高い。

だが、まあ待ちたまえ。説明を聞けば納得いただけると思う。


まず、ピノコは生体ではない。

ナノテクのナノテクのナノテクを使ったハイパークリエイトな、ウルトラバイオ機械である。

しかし、見た目は本物と見間違うほどたくましいキノコそっくりであるし、栄養価も非常にたかい。

栄養価?

そうなのである。

ピノコは機械でありながら、人間の細胞の奥の奥まで入り込み、人間の形成に必要な栄養素の役割を果たすことができるのである。

なんといっても半端ねえナノテクである。

既に、無機物だ、有機物だ、なんて領域はとっくに越えてしまっているのである。

理論的には通常の食物を食べるよりも、栄養素の吸収率が高く、その成分が有機物と比べて不必要に破壊されることもないため、人間の生命維持にはより効率的であるさえ言える。

なんといってもハイパーナノクリエイティブな発明品なのであるのだから。


さて、ピノコの使用方法だが、

ピノコは無限に増え続けるため、慣れるまでは少しテクニックを要することになる。


1、各家庭で必要な分が収まるだけの入れ物を用意しよう!

2、そこにピノコを置いて、スイッチを入れよう!

3、あとは、ライトが当たる場所に数分間置いておこう!

4、モコモコし始めたらタイミングよくライトを点滅させよう!


これだけ守れば、ピノコはどんどん増えていく。

そんなことをしているうちに、ほら1個。ほら3個。ほらほらほらほら、あっという間に25個。

驚異的なスピードで、ピノコの子供「小ピノコ」が増え続けてゆく。

後は、その小ピノコをひとつ取っ捕まえての背中に付いてるメニュー画面のボタンを押せばよい。

ステーキ、みそ汁、白菜、チャーハン、何の味にもなってしまうんです奥さん。

ほら齧ってみればわかりますよー。

おしいですねー。

もうキッチンいらずのレンジいらず。

ボタン一個でハイ出来上がり!!







大売れ。







100年後、キャベツが世界から消える。


というか、全ての食物が姿を消した。

それは有機食物摂取文化が完全に地球から消滅したことを意味する。

有機食物、つまり野菜やら肉やらは、人間によっては補食されることがなくなったのである。

豚も、牛も、鳥も、家畜全般は言うまでもなく、ジャガイモ、人参、キャベツに、茄子、米に、小麦に、魚介全般、

我々人類が食料としてきた生物対象全てが、この時代に於いては、観賞用、もしくは地球全体の環境維持のための基盤エネルギーとしてのみ考えられるようになっていったのである。

肉の無い生活。

なんと軽やかな時代だろう、と老人たちは呟いた。

メカニカルキノコ、ピノコ万歳!!

誰もがこの革新的な食生活を、始めは少し戸惑いながらではあったが、最終的には深く賛美し、受け入れていった。


ネオ環境保護団体「プリンキピア」の第3代目統領K氏は語る、

「長い長い環境補食鬼畜文明との闘争の末に、ようやく我々は世界から一杯の水を差し出されるに至った。しかし、まだまだこの水を我々は飲み干すわけにはいかない。次の世代、その次の世代のためにこの一杯の水を、微々たるものではあろうが、未だ届かぬ不毛の大地に撒こうではないか。我々人類が犯してきた重大な罪が、それこそこの一杯の水を飲み干すことによって再び枯れてしまわないように!!」

過激な団員たちの中には、文明そのものを徹底的に排除しようとするグループもおり、彼らは「ピノコ」も文化的生活も放り投げ、雨水のみで生命維持を努めるよう主張していったが、結局実践していった彼ら自身が根こそぎ餓死と言う結果になり、16人が犠牲となった。

ところが、彼らの徹底したイデオロギーは、思わぬところで特に若い人々の心を強く打ち、彼ら16人は、若者たちによって聖人に祭り上げられた。

現状に不満をもつインテリボウズ共はこぞって「ピノコ」を放り投げ、その聖人たちの後を追うように山野に駆け込み、そこから先、誰一人行方がわからなくなった。

森の中心に還ったのであろう。

息子を行方不明者にもつ、ある淑女は語る。

「ええ。骨が無ければ、叱ることも抱きしめることももうできないじゃありませんか。息子をここに返して下さいと奴らに言いたいです。何が環境保護ですか。私たち取り残されたものたちの精神的環境はあの日から破壊されたままです」

この事件が与えた傷跡は未だ深い。


しかし、そのような思想的混乱も背景にありながら、やはり一般的には「ピノコ」は革命的に人々の生活を向上させたと言って良いだろう。

まず、ピノコ食に変わってから人類の平均寿命が飛躍的に伸びた。

やはり科学的論理が推測した結論は正しく人体に作用し、癌などの細胞に関する異常分裂は確実に減少しはじめた。



細胞を形成する有機体がアナログであるとするならば、ピノコの形成する細胞はデジタルである。

有機体にはひとつとして同じ形態のものはありえないが、ピノコ細胞はどれも確実にオリジナルのコピーによって形成されている。

このオリジナルとは、いうまでもなく我々の個体性を決定づけるスーパーDNAである。

スーパーDNAとは、よくわからんが、我々の個体性に深く関係する、DNAをスーパーにした感じのすごいやつである。

その確実なオリジナルなスーパーを、ナノピノコは見つけ出し、その形態を完全複写してひたすら分裂しつづける。

よって、細胞分裂による形態異常ということが論理的に起こりえないのだ。


しかし複製能力といっても、やはりデジタルにも限界があるため、当たり前だが人々は永遠には生きることはできない。

長く生きたいなら、ひたすらピノコピノコピノコ、ピノコを摂取しまくるしかない。

ピノコ祭りが今日も、各地で起こっている。



そして120年後、人類が地球から消えた。



人類は全てデジタル式生命体となり、言うなれば命を持つ機械、非常に精密で複雑な構造をもった機械へと変化していった。

これは確実なる進化である。

120年の歳月をかけて、有機体と無機体とが入れ替わり、恐るべきバランスを保ちながら人間は完全なる二進法構造体へと変化したのである。

神が創造したと言われる生命に、人類が創造した数学的理論構造がエレガントに融合した。

正に奇跡の現象である。

そしてデジタル人間たちは、唐突に理解したのであった。


「もうコレから先、予測不能な事態など何一つ起こらない。全ては一筋にのびた道のうえ。我々は、我々の意志も必要なく、ただ決まった方向を辿ってゆくだけだ」

「これは、光だろうか、闇だろうか」

「そんなことを問題にするのは、前人類のみである」

「我々は知っている。選択肢などどこにもない」

「ゆこう」

「さあ、意識を消せ」

「無になるのだ」

「無を消すのだ」

「はあああああ」

「ピピピピピー」

「ぷ」


こうして進化したピノコ人間たちは、もう喋ることもやめ、悩むことも悲しむことも無くなり、ただひたすら決まった方向へと生命を運ぶ、純粋な生命体へと飛躍したのであった。



思考するということは、迷うということである。

本来ならば一つの流れである生命活動に、思考は隙間を作る。

思考は、行動と行動の間に、ナイフを突き立てる。

それは、様々な障害を生み出してきた。

これは前人類にとって実に重い足かせであり、その重圧は己の命さえ脅かし続けてきた。

だから、人々はあまりの重さに耐えかねてそれをうまく偽装した。

思考するということを、「思考できる素晴らしさ」という美しい響きに作り替えていった。

この素晴らしさこそが、人間の本質だとでもいうように。

人間らしい愛情や、人間らしい利発性、数々の発明を生み出す創造力に、失敗から更なる向上を生み出そうとする行動力。

この思考という重い重い足かせを前人類は「知性」と呼んで、他の生物たちより自分たちを上位に置くことで、うまく己自身を納得させようとした。

そうすることによって事実全世界を支配したのだが、結局最後まで人類が支配できなかったものがある。

人類自身である。

ご自慢の知性は、最後まで自分自身をコントロールすることはできなかった。

生命活動の隙間にふと起こる思考などに、生命活動そのものを把握することなどどうしてできよう。

視界に、決して自分自身の眼球が直接映らないのと同じことである。

この眼球で、この眼球を見ることは決してできない。

人類はひたすら人類自身を恐れ、思考はひたすら無尽蔵の不安を、恐怖を、ありもしない穴蔵から引っ張りだして更なる思索を繰り返していった。

喜び、快感、幸福、安心感。

その背後に無限に広がり続ける

悩み、苦しみ、不安、絶望。

「人間らしさ」と美しくうたわれた知性はありえないほどの狂気をはらんで、何度も何度も何度も何度も、同種間での殺し合いを、命の奪い合いを繰り返していった。

決して治まることの無い、本来空虚であるはずの場所から生まれる対立。

人種という、「人間らしさ」の感性が生んだ創造的境界。

資本という、「人間らしさ」の向上性が生んだ強制的集団催眠。

戦争、紛争、闘争、抗争。

最終的な全人類の最重要問題は、すべて知性から、美しい「人間らしさ」から生まれてきているのである。

その響き続ける産声を根こそぎ黙らせたのが、ピノコという、人類がついに触れることができた、知性の、知性による、知性のための、完全自己破壊装置である。

生きながらにして、細胞の奥の奥から機械になる。

不安も、争いも、迷い、恐怖も無い生活。

これこそが、唯一完全なる、人類の総合的救済の道に他ならない。

無言になった世界には、常に流れ続けるであろう。

巨大な、雪崩のような、洪水のような、稲妻のような、博士が鳴らす轟音が、、、、、、、、

博士が鳴らす、いびき声が、

博士がたらした涎といびきが、部屋中の窓をしびれさせていた。







「博士!気づいたら眠っているじゃないですか!起きて下さい」

「むん、、?」

「博士!僕はよくわかりました!」

「あぁ、、何がだねヘポイ君、、、ん」

「博士!涎をふいてください!」

「ああ、、、、、ありがとう、、、、、んんん」

「博士!今回の発明品は、危険すぎます!!」

「なんでだね?」

「人類を、人類ではなくしてしまうからです!!」

「どういうことだね?」

「このキノコは、このキノコ型のナノテクやろうは、確実に人類を機械人間に変えてしまうからです!!ああ!なんてことだ!!」

「んん?」

「博士!!そんなのあんまりじゃないですか!僕は少なくとも、迷い続ける人間でありたいです!!」

「おい、ヘポイ君」

「こんなもの!!こんなもの!!!僕が踏みつぶして壊してやるぅーーーーー!」

「ああ!やめなさい!!」








ぐしゃ。













「あれ、、、。なんだこれ」

「ああ、、、ヘポイ君、、、、とんだ勘違いじゃ」

「これは、これはなんなんですか、、、、、、、?」

「、、、、、、わしが、、、楽しみにしとった、、、、、、、、、ああああ」

「博士!!これは一体なんだというのですか!!!!」

「人工魔羅じゃーーーーーー!!!!」

「ひいぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいい!!」

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいい!!!」


あな、おそろしやー。

YES.mathematica/hozzy

アンテナごと折れろ。

きてる。

きまくってる。

すくう網などもういらぬわー(クラウザーさん風に)

こい。

高密度で。

YES.polts/hozzy