二人からの話を聞いて。

蜜柑と林檎のアイノコ的な味。

彼女が求めるのはそういうもの。

「子供は虹を追いかけるものよ。」

彼は気弱そうにうなずくも振り返らずに沈黙を踏み続ける。

空はそのままカシスで割ってのんでしまいたくなるような鮮やかな夕暮れ。伸びる二本の影はさながら夜に架かりゆく橋のよう。そんなシチエイショーンヌに彼女の心は当然のごとくゴウゴウとロマンチックに燃え滾るのだった。そして自分の影を、黙々と歩く彼の影にそっと重ねるという密やかな甘い行為を思いつく。

女は静かにステップを刻み、かみ殺す笑いに愛しさを覚える。

影はじわりと溶けはじめひとつになろうと優しく揺れていた。

 

あと3秒だった。

あと3秒でひとつになれた。

完全体になる3秒前、地面から飛び出て折れ曲がったクギが彼女のミュールをくりっと引っ掛けた。

ぐらり泳ぐ彼女の体。バランスを崩し、泳ぐ泳ぐ泳ぐ。

 

 

転んでしまえ、と彼は思った。

 

 

 

YES.casiss/HOZZY

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