8月 2005

銀河系の外へ。

金属マニアの僕は、より美しい金属を手に入れるため、カスロペルムという星を目指した。

宇宙旅行と行ったら一般的には宇宙船だけど、船ほどの高価な乗りものは貧乏人の僕にはとてもじゃないけど買える代物じゃない。

中古船でも7000セロムはする。僕らの国の一般サラリーマン半年分の給料に相当する値段だ。

だから彗星特急の三等室チケットを代理店のおばちゃん相手にねばってねばって土下座までしてやっと15セロムで買い落とした。

 

彗星特急は「彗星」「特急」とは名ばかりの実にノロマな宇宙列車として有名だ。

衛生的にも、とても「彗星」から連想されるような綺麗さとは程遠い、実に不衛生な環境の中にある。ドブの臭いが常にするんだよ。臭い。

ただどれだけノロマで汚くても、格安の値段と確実に目的地まで運行するという信頼で、特に僕のような最下層の出身者たちには人気がある。

 

僕はデロル出身だ。

 

デロルとは、僕らの国の階級制度において最も地位が低く、しかし最も神に近いとされている階級だ。<br>ぎりぎりヒューモ(人間)として認められている僕たちみたいな階級が最も神に近いだなんてなんて皮肉な話だろうとつくづく思う。

でも神に近いと言われることは、僕らにとって何にも変えがたい誇りなんだ。僕らデロルは日に12回の礼拝を決して忘れない。

 

僕はノミが跳ね回る三等室のベッドの上で、まだ見ぬ金属「ゼノン」のことを想像していた。

もう500近い種類の金属を集めたけれど「ゼノン」はまったくもって未知の金属だ。

聞いた話によると青と白がマーブル状に描かれて、この世のものとは思えないほど美しく発光するらしい。

更に強度がとても高く、柔軟性にも優れているため、仮にもっと多くコンスタントに採取できる方法が見つかれば世界の金属工業に革命を起こせるとも言われている。

それほど優れた性質を持っているようなんだ。

 

三等室の天井がガッタンゴットンと揺れるたびに「ゼノン」に対する愛しさが膨れあがっていく。

 

ああ、あと15時間でカスロペルムに着く。

 

 

 

 

こんな物語も幽体離脱すれば現実として実現するらしい。

 

つーか現実とは何なんだい?

 

YES.zenon/HOZZY