石造りL字型。
フライパンが生えた午後のミュラル通りを片足のメーワイは浮遊していた。左足に三色の包帯を巻きつけて、水色の一本だけを垂らして引きずっていた。彼のくしゃみはいつも正確に「ラ」の音をだし、あくびは「ファ」の音をだす。ギター弾きは彼によくコショウをふりかけた。最低でも10回は響き渡る「ラ」の音にギター弾きは急いでチューニングを合わせる。そしてそれが終わるといつも3セロムを置いてどこかに消えていった。メーワイはその度に鼻水と涙で顔をグシャグシャにしたが決して怒ることはなかった。地面に転がる錆びた1セロム硬貨三枚、彼は無言で拾い上げると腰に下げた空き缶にカランと放り込む。こうしていつからかコショウを浴びた日は小麦粉とフォークが買えるようになった。
メーワイが左足の膝から下を無くしたのは353歳になった年。卵の食べすぎが原因だった気がする。そして俺は眠くなっていた。寝るべ。