ハリガネを巻きつけて。
カラスの骨が、くちばしから地面に突き刺さっている。
それがカラスとわかったのは、まだ黒い羽が二、三枚、あばらの辺りに張り付いて、ぱさぱさと揺らめいているのが見えたからだ。
カラカラに乾いた足の先はひび割れて、ひからびた珊瑚のように白い。
太陽の光を浴びるたび、それはきらきらと弾けるように輝いた。
僕は、彼女に聞いた。
「あのカラスは、君の友達?」
「そうよ。」
「なぜあんなところで逆さまになってるんだろう。」
「私も詳しいことはよくわからないのよ。」
白い羽を細かく振るわせて、彼女は首を傾げた。
モンシロチョウが二匹、僕らの目の前を踊りながら交差していった。
「ただ、あの樹なら知っているかも知れないわね。」
彼女が黄色いくちばしを南の方に向けた。
つられて僕も鼻先を向けた。
「あの大きな樹のこと?」
遠くその先には、雲に届いてしまうくらい巨大な樹がそびえている。
「そう、あの大きな樹はこの森の長だから。」
僕は目を細めて、蒼い空と緑の葉のコントラストを、眩しさにしかめながらじっと眺めていた。
YES.The Starry Night/hozzy