
『魚と猫とゴムとネコ』の6。
水中で身をまかせるまま流れに乗り続けていたニクモは、太陽が自分の進行方向の逆側に随分取り残された頃、奇妙な光景に出会った。自分と同...
水中で身をまかせるまま流れに乗り続けていたニクモは、太陽が自分の進行方向の逆側に随分取り残された頃、奇妙な光景に出会った。自分と同...
まな板と包丁がぶつかる音が消えた。「かあさーん、どうゆうことだべコレ。」八百屋の親父のシュンスケは、そういうと、さばき途中の鮎をぴ...
ニクモはポチと一緒に河原で風に揺られていた。無数に転がる石の中の一つ、ヒトデの様な形をした真っ白い石の上に横たわりながら、しゅるし...
ポチの毎日は、平和だ。首輪がない野良猫だが、不思議に誰からも愛されている。特にこの界隈の子供達の間では人気があって、「ポチ。ポチ。...
「ネコちゃーん、今日は牛乳にお砂糖を入れてもいいのかしらぁ?」台所の向こうから母の声が聞こえる。グツグツグツ、と何かを煮ている音が...
「あいつが帰ってきた。」僕たちの間に大歓声が起きた。今にも擦り切れそうな姿で僕らのコミュニティに戻ってきたのは、あの弱虫のニクモだ...
隣にあなたは立っていて、ずっと向こうでが犬が鳴いている。森とは言えないけれど、林より大きい、樹々が群れる場所。「綺麗な赤だ。」わた...
置き去りにされて、孤独は自分のためにしかないと思い込んで、伝わらない音符の上下と感情の散乱を言葉に変えたもの(美しく言えば「詩」)...