スリーピン。

君は夜中に台所でリンゴをむいた。うすく切ってそれを窓辺にさしこむ街灯にすかした。そして食べた。電気はつけなかった。くらやみは静けさと手をつないでいた。ふと頭のなかにブランコが浮かんだ。口のなかがリンゴできしきししている。たばこを吸った。吐いた。ブランコがゆれた。天井から水を流す音がきこえる。とたとたとた。窓の鍵に手をかけた。ブランコが止まる。ソロソロと窓を横に滑らせた。なまあたたかい風が鼻先をなでる。外にはなにもなかった。月も見えなかった。冷蔵庫が背中で低くうなった。それから君はなにも期待しないで寝床に戻ることにした。ブランコがねじれた。鼻をかんだ。もう一本たばこを吸った。今日読んだ本の中身を思い出そうとした。宇宙の端っこのほうで星が一つ壊れた。そして気づかぬうちに、君は君の眠りの中にしずんでいった。

YES.3mm/hozzy

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2006年8月
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