column

カパーゾ。

また、プライベートライアンを観てしまった。
これでおそらく7回目だ。
始めて観たのは小田原のオリオン座という映画館で確か高校1年生の時。
ありえない衝撃をくらって、駅まで友達と無言で帰ったのを覚えています。
オリオン座は潰れてしまいました。

ノルウェイの森とプライベートライアンはほんっとに飽きねえ。
どっちも小説と映画でとても有名な作品なだけに、本当ならもっとマニアックなやつとかを「これが私のお気に入りです」とかって、実は人に言いたいあまのじゃくな自分もいるんだけど(いやらしい笑)、しょうがない。良すぎるもんは良すぎる。

しかしあの映画はどうやって撮ったんだろうって、いつも不安に思ってしまう。本当に撮影中に事故で何人か死んでいるんじゃないかってくらい戦闘シーンが強烈だし、カメラのアングルの捉え方も緊迫感剥き出しで神がかってるし、俺はもちろん戦争に行ったことは無いけど、戦場ってこんななんだって本物を見ているかのようなあのリアル感が半端じゃない。

「戦争」は絶対悪だ!って言うにはいささか複雑な時代背景があったり、当時の政治状況があったりって、人間それぞれのそれこそ「正義」の体系の上で戦いは行われているものだから、むしろ俺みたいな何も知らないやつが「戦争反対!」なんて、その場限りの薄弱な意志と「こわいこわい」って何が恐いのかよくわかっていない無知に等しい経験をもって、世間に誘発されて何事かを叫んだとしても、数時間後にはそんなことすっかり忘れて結局カップラーメンとか食いながらケツをかいてゴロゴロするのが行き着くところです。最悪です。

誰だって殺し合いなんかしたくなんてなかったんだろうけど、するしかなかったんだろうなと戦争資料を見るたびにいつも思います。
誤解を恐れず言うとかの悪名高き某総統さえも悪く思えなくなってしまう時もあります。どの立場に立つかで全然見え方が変わってしまう。
人間全体の目線で見れば、悪い立場なんてないようにも思えてきます。

一番悪いのは、良い悪いで分けるこの世界の法則だと俺は思います。何が悪いのか良くわからないのに、悪いものは悪い、だから疑いなく「悪いの反対!」って、逆に言うともの凄く悪いことのように思えます。
戦争って何に向かってどこから手を付けて理解すればいいのか、あまりにも巨大すぎて俺にはわからなくなってくる。
そして同時に「平和は善」ってものすごく頼りない主張に思えてしまうのは俺だけでしょうか。

ただ、プライベートライアンを観ればそんな頭で考える物事なんてぶっ飛んじまうくらいおっかねーし、戦争の是非うんぬんをおいといて、人間はあんなおもちゃのように死ぬべきではないと思わされます。
映画の中で牛もいっぱい死んで転がっていました。銃弾の盾になったりしながら腐っていくのは、牛にとっても悲しいに決まってる。

そんな複雑怪奇な戦争や人間へのテーマをハイクオリティーなエンターテイメントに仕上げたスピルバーグってどんな人なんだろうって今更ながらすっげー気になる。こないだ拓郎に薦められて「ジョーズ」もまた見たけど、あれも凄いし笑。あのおじさんが見ている人間への眼差しを一度で良いから俺の濁ったマナコと交換してほしいなああ。

YES.ryan/hozzy

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