春の匂い。
ああ、大変だ。
またノルウェイの森が読みたくなってきてしまった。
なんでなんだろう。
春になると、もしくは旅に出るといつも読みたくなってしまう。
もう読まないって、もう読んだってしょうがないって自分で思ってたのに。
ワタナベ君の客観的具合と、直子の純粋であるが故のモンスター具合に、しかも透明感マックスで描かれていてそれが始めなんて綺麗なんだろうって思って「君はなんて純粋で美しいんだ」って思ってたら、やはり彼女は深く根を張ったモンスターだったじゃん的具合に(俺には彼女がどんどんやはり遠くなっていく、一回目、二回、三回目、、、読むたびに第一印象から離れてく)ミドリのディオニュソス的な性質、なのに一番まともな人間性を備えているあたりに、マシンのようなナガサワさんの「それはシステムの違いであるからだ」の発言に、ハツミさんの服装のきらめきに、レイコさんの最後のワタナベ君との性交渉との謎に、突撃隊の安心感に、油絵を書いていたイケメンの彼に、レコード屋の店長に、アミ寮のテニスコートの弾力をはかるようにボールを打つ人たちに、レイコさんを破壊した巨乳の美人中学生に、キズキに、新宿の広場で朝までワタナベ君と酒を飲んで片割れが彼と寝たあとの朝の倦怠に、屋上から放った蛍に、吉祥寺の大家に、ワタナベ君が殴り合った上級生に、学生運動をしていた偽物の男たちに、ドイツの空港に着く前にワタナベ君に話かけたフライトアテンダントに、突撃隊とデートした女の子に、神戸の彼女に、ミドリの学校の焼却炉に、小林書店に、ヘルマンヘッセに、水仙の花に、京都の山奥の井戸に、寒さに逃げ出したヒッピーたちに、ベランダから眺めた火事に、ミドリの父親に、キュウリに、ロバのウンコに、あげたらきりがないお話に。
ワタナベ君は、何者だったんだろう。
ギリシャ悲劇を専攻していた。
エウリピデス、ソフォクレス、アイスキュロス。
名前しかきいたことがない。
ワタナベ君も、特に興味があるわけではなかった。
だってどエロだもん彼ほんとは、性欲がほとばしってるもん。
感情を控えめにしてる分、言わないところでぶちやぶってくるもん。
面倒くさい割にはすぐ寝てしまうもん女の子と。
なんて青春。
これで、自分が嫌になるなんて、なんて贅沢な輩でしょう。
ワタナベ君は決してかっこ良くはないらしいのに、流れでよく女の子と寝てしまうんです。
それも実にうまく彼寄りで文章構成されているため綺麗になってるんです。
駄目なのに、駄目ってこっちにも伝わってくるのに、なんか空気感がさわやか、もしくはセンチメンタルなんだよ。
現実なめてるよ。
でもこれが不思議と腹が立たないんだよ。
なんかまあいっかってなっちゃうんだよ。
時代の空気感が文章にこびりついてんのかな。
今じゃただのプレイボーイだよ。
しかもセンチメンタルジャーニーな。
そんなワタナベ君、映画になるってことで松山ケンイチが演じるってなんかどんななのか楽しみです。
俺的には、加瀬亮とか年齢関係なかったら、ワタナベ君ぽかったんだけどな。
直子が菊池凛子ってありえなさそうで、でもなんか最近納得してしまう。
あの菊池さんの悪魔的な感じが、直子の闇を解放してくれるんじゃないかって思っちゃう。
映画いつ公開なんだろう。
あせらずじっくりかましてほしいな。
なんたっていくら突っ込んでも、サイコウの小説はずっとサイコウなままですから。
俺はノルウェイの森がやっぱサイコウすぎるんだわ。
文字のフォントも丸くていい。
これ重要だと思う。
そしてうちのドラマーもワタナベです。
ご安心ください。
彼はプレイボーイではありません笑。
YES.nagasawasan/hozzy