ルノテック。
『10分で完成!組立 天体望遠鏡 クレーターもくっきり!』
って1500円くらいの学研の教材みたいな望遠鏡を30分かかって組み立て、金星がちょうどよく輝いていたのでのぞいてみた。
予想通り金星はさらによく輝いて見えるだけで笑、その丸いであろう姿はこんな安物望遠鏡じゃ捉えきれなかった。
けれど月は見えましたよクレーターがちゃんと!
うたい文句通りでほっとした。
ちゃちい装置でも見えるもんなんだな。
よく歌詞とかに「月」をだすくせに今日までクレーターなんて見た事なかったんだよ。
どうよこのエセ月マニアぐあい。
しかしなんつーかやっぱ月をみてると、心安らぐ部分と血がたぎるような隅っこの部分が酔いどれ合って、むーん、とこっちの感覚をねじ曲げてく気がして、無視できないのよねやっぱ。こないだは太陽すげえって思ったけど、月は消えない引っ掻き傷みたいだ。
満月には事故も増えるだろう。
狼男も暴れるだろう。
なんたって海ごと引っ張ってんだから、パワーがパネェ。
脳みその中身だって傾いちまうだろう。
そこでできた頭蓋骨内の隙間が、空洞が、つまりはどんな小さくとも、むなしさの正体だ。
その空洞を埋めるために人は、夢を見るか、酒を飲むか、体を求め合うか、月をまた眺めて光でそこを満たすのだ。
つまりは月に支配されたこのわたしの生態。
サンゴもある満月の日、産卵を開始する。
空洞に耐えきれず、空っぽすべてにむかうのだ。
めくれあがったその瞬間、反転した空間が、命の誕生になる。
奇跡の反転。
非連続の連続。
月のクサビは何よりも深く硬い。
えせ月マニアが語りだすと、こうなるのは、脳みそが傾いてる証拠だ。
隙間の空気の放出を待っている。
抜けない空気があくびになる。
もう曇って月も見えない。
ありがとう10分望遠鏡。
おやすみ引力。
YES.hoshinotechousha/hozzy