column

不滅のイデア。

フォレストーンのリバイバルツアー名古屋を最後に無事終了となりました。

お越し下さった皆様ありがとうございました!

キーボードのつたさん、PAのオカジ、楽器のジェロさんもフォレストーンから10年間、今もチームにいてくれて感謝です。

 

 

10年という歳月は厚みがありますね。

前回のハナミドリのリバイバルツアーの時よりもそれを感じた。

多分、変化に富んだ曲が多かったからでしょうね。

改めてフォレストーンの頃の空気に触れて、無駄に何かにもがきまくっていた記憶が蘇りました笑。

そしてそれは結果として無駄じゃなかったんだと、今回やっと確信が持てたようです。

あのアルバムを作るのは、やっぱりいろんな意味で大変だったなあ。

曲もそうだけど、メンバー間やスタッフ間でもフォレストーンの時期はイメージの共有が難しかった。

そりゃあそうだ、、、。

10年経っても未だに仕組みがよくわからない曲(不滅の太陽)もあるし、10年経って初めてライブで歌った曲もあった(ピースサイン)

当時はとにかく外に出たがってるイメージだけが暴走していたんだろう、かっちょよくいうと。

もう今では書けない曲たち(書く気力をなかなか保てそうにない曲たち)の群れ。

それがフォレストーンでした。

レアなアルバムです。

 

ライブ中のMCでもちょっと喋りましたが、時間が足りなかったので言えなかったことを今日は付け足しで記させてもらいます。

多分、今を逃したら一生語る機会もないだろうことなので笑。

 

「不滅の太陽」の制作意図について。

前述したように「不滅の太陽」は曲がちょっと変わっていて、今でも正確な曲の中身の理屈を、作った自分でもよくわかっていない。

けれど一応ちゃんとした意図を持って半年間かけて「頭の中で」書いた曲です。

頭の中で書くとか、ちょっと才人のようなことを自分で語るのもアレですが笑、当然死ぬほど無駄な時間も消費しています。

一ヶ月で4小節かければラッキー。

頭の中で書かなければならなかった理由は、自分はピアノが弾けないのと、ピアノじゃないと作れない曲を目指して作っていたから。

、、、ちょっと意味がわからんですね。

ギターじゃ書けないんですよ、「不滅の太陽」って。

ピアノじゃないとできない。

なぜか?

それはベースと和音を完全に分離して曲を進行させなくてはならなかったからです。

ギターだと、これが非常に難しい。

作曲している人ならこの話はよくわかってくれるのではないかと思います。

ベース(ギターでいう所の一番低い音)を自由に動かそうとすると、指がね、届かないんよギターだと。

それに比べてピアノはどこまでも自由にベースを動かせる。

両手で和音を弾くこともできる。素晴らしい楽器。

なんで弾けないんだろう笑。

 

ということで、「不滅の太陽」の制作には、自分が弾けないピアノの構造が必要だった。

だから頭で先に鳴らしてから、PCに音を打ち込んでいった。

当時はDAWやPCのスペックが低くて笑えるほど使い勝手が悪かった笑。

*DAWはパソコンで音楽を作るためのソフトのこと

頭で理想の進行を鳴らすために、とにかく音楽についてのリミッターを外していった。

もちろん、ナチュラルにそれを行う必要があるので(クリーンに笑)すごく時間がかかった。

 

で、「不滅の太陽」で表現したかったことって詰まる所何なんだ?って話になるんですけど。

 

ベースの移動を半音単位で捉えながら、無理が出てくる部分を和音をうまく使って強引につないでいくこと。

ポップミュージックは基本的に一つのキー内(調の中)で使えるベースのポジションとか、和音の構成の仕方とかってのが決まってる(ゆえにポップミュージなのでありますが)

それをベースの移動を制限数なし、和音も制限なしで使えるようにしたかった。

「音楽は出尽くしている!」

って10年前も、その10年前くらいからすでに言われていて「じゃあ、もうビートルズ聴いてりゃいいじゃん、、、」ってちょっとした虚しさみたいなものを当時よく感じていた。

曲作ってる人間としては酷ですよ、あなた。

「いくら頑張っても、焼き直ししかできないよ、あとはもううまいことやりなさい」って言われているってことだからね。

今でもおんなじこと言われているけどね。

ここに対する答えが欲しくて、まず自分が聴いた事がないような展開の曲を作りたかったのが一つ。

そしてクラシックの現代音楽みたいなことを、歌メロのついた音楽で実現してみたかったのがもう一つ。

実際、完成形はそんな感じになっているのではないかと思いますが、ぶっちゃけ専門教育をちゃんと受けたわけではないのでクラシックのことは何にもわかりません。

似非です笑。現代おんがく。

 

ただ、当時クラシックにすごくハマっていた。

その影響をモロに受けているのは間違いなし。

 

ラヴェルの「水の戯れ」を夜中に寝ながら聴いたとき、「こんな曲どうやったら作れるんだ、、、」なんて思っていた。

歴史的作曲家のスキルに対して、自分も同じことをやりたいなんておこがましいけど笑、若さとはそういうもの。

おらも水と戯れたいと思ったんだ。

「水の戯れ」のあの感じ。

「不滅の太陽」のイントロであの感じを目指しているのは内緒。

あと間奏はモロにバッハな。あれはとてもわかりやすくああしています。オマージュです。

 

バンドが自分たちの音楽に個性を出すとき、サウンドや歌詞やアレンジでそれを行うことが多いと思う。

けど藍坊主は当時、音楽の構造自体をいじって、そこから自分たちの個性を出そうとしていたんです実は。

それがフォレストーンの正体なのだ。

このことは、残念ながら未だに誰からも言われたことがないけど笑、僕らだけはそれを知っている。

そしてとうとう自分でそのことを言ってしまった。

無粋なのはわかっている。

けど、すげえ発明だったんだぜフォレストーンって、って言わせてもらってツアーを締めくくらせてもらいたいと思います。

 

という感じで。

当時はこんなことを話せる場所もタイミングもなく、取材でも「不滅の太陽」はスルーされがちだったことをはっきりと僕は覚えている笑。

レーベル担当の人とも電話でバトルしたこともあった(いい曲を書いてくれ!というお話だった)

リリース後に会議で説教を受けたこともあった。

今ならその意味もよくわかる笑。

逆の立場だったら、俺も同じことをアーティストに言っている可能性が高い。

ただ俺らはこれからも音楽を作る側だからなあ。

その関係性はどうにもこうにも変わることはないので、10年前に戻っても必要であればまたおんなじことをするでしょう笑。

 

フォレストーンは必要なアルバムだった!

 

そして今回のツアーを通して心が震えるほど嬉しかったのが、どの曲も楽しみながら聴いてくれるファンの皆さんの姿でした。

「不滅の太陽」の墓場になるツアーかもしれなかったからな笑。

ツアーが終わったらもう二度と演奏することはないかもな、なんてこともちょっと思っていた。

10年後にこうしてもう一度演奏できたこと。

そしてまた今後も演奏させてもらっても良さそうなことがわかったことは笑、とても嬉しいことでした。

 

音楽はまだ出尽くしてないかもしれなくない?

リミッターを外せばまだよく分からない音は向こう側に潜んでいる。

そのことをちゃんと教えてくれて、その後に自信を持ってスタンダードな曲を作れるようにしてくれたのもフォレストーンだった気がする。

もうそれがわかったから、あえて無茶をする必要も無くなった。

知りたかっただけなんだ。

やろうと思えば、それができる。ってのは何よりも大きい藍坊主の自信であります。

 

これからもファンのみんなに気に入ってもらえる曲が作れるように、そして自分たちがワクワクできる曲が作れるようにLuno Recordsを運営していくよ。

今年はライブがまだまだ盛りだくさんなので、また遊びにきてください。

これから発表されるやつの中には結構変わったのもあったりで面白そうだぞ笑。

 

楽しいツアーをありがとうございました!

 

YES.forestone!/hozzy

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